こんにちは!トムです。
前回の記事の続きになりますが、今回は日本人の平均賃金が長年上がらない理由についての考察です。
日本人に求められる賃金交渉力
結論から言いますが、それは日本人の気質にあると感じております。
賃金交渉のタブー感。
海外でスタッフ採用を経験するとわかるのが、個人による賃金交渉の存在。
結果として同じ新入社員でも初任給が変わってきます。
一方、日本の社会では昇給を個人交渉するのはプロ野球選手くらいなもので、一般企業は労働組合が組織的にベースアップの交渉を行います。
しかも労働組合の委員長は人事部と仲良で幹部候補だったりと茶番くさい要素も・・・
お金を要求することがはしたないという常識に支配される日本。
一方、自己の権利をとことん追求する海外。
この差が日本の経済成長の足かせとなっている気がしてなりません。
文化的に日本において個人のスタンドプレーは推奨されません。
高校野球でもスター選手のいないチームが優勝すると全員野球の勝利とい
う称賛のされ方をします。
日本特有のサービス残業がはびこる理由も同僚や先輩上司が仕事を続ける中で1人だけ仕事を切り上げて帰るのが甚だ申し訳ないという心理が働いているはずです。
また日本の時代劇でよく登場する「直訴は死罪」といわれる気質。
令和の世になっても根っこは同じで雇い主に対し賃金交渉するなんて恐れ多いという古来からの良識に支配されているのだと思います。
メンバーシップ型vsジョブ型
ところで、日本の平均賃金はG7国のなかで最下位という事実はあまり騒がれていません。
給料に応じた物価安のバランスがギリギリ保たれているからなのでしょうか?
2008年からの10年間でアメリカやフランスの賃金は10%弱の増加で中国にいたっては2倍。
ちょっと前まで日本には中国からの留学生やアルバイトが日本中にひしめいていた記憶がありますが、あっという間に姿を消し、代わりにベトナム人がその穴を埋めています。
そのベトナムも近いうちに同じ流れでいなくなってしまうのかもしれません。
日本の平均賃金が長期にわたって低迷している要因として個人的に強く感じるのが「個人で賃金交渉しない」気質です。
日本のクビに出来ない労基法が生み出す「個人で賃金交渉しない」気質と長引く低賃金社会は大きく関係していると思います。
企業側にとっては「低賃金にしても企業は労働者を確保できた」既成事実が出来上がっています。
先行き不安な社会において賃金アップを抑え内部留保を増やすことに意識が向きます。
そうやって労使ともに賃金の横ばい状況をキープしているんです。
賃金交渉力の差
日本を含む5カ国で30代〜40代の大卒を対象に「入社後の賃金交渉」についてアンケートをとったらその違いが凄まじい。
アメリカ、フランス、デンマークでは7割が「交渉済」と出てしており、中国ではなんとほぼ全員。
一方、日本は交渉したという人はわずか3割程度。
基本的に契約社会感が薄い日本の従業員は労働契約書の内容についてわりと無頓着です。
一方、海外の企業では契約にサインする機会が多くあり、その都度交渉が必須となります。
雇用契約更新やジョブローテション等、職務の決定と処遇について常に意識せずにはいられない環境なのです。
当然、個人が企業に賃金の希望額を伝えることが普通である社会とそうでない場合を比べると当然その差は歴然するはずです。
終身雇用の時代では企業が決定した人事や賃金に対し大人しく従ったほうが周囲から好かれますし結果的にそれが評価となります。
いわゆる日本の同調圧力と呼ばれる世界です。
近い将来、日本人は新興国の人々のように物価の高い国へ出稼ぎへ出ることでしょう。
その際、賃金交渉できないおとなしい日本人のままでは絶対的に不利です。
これは非常に切実な日本人の課題となってくるでしょう。