投資ビギナーが意識すべき7つのポイント
前回の記事の続きです。
お金を稼いだ事がない高校生がいきなり運用の勉強をして意味があるのか?
株価ってどうやって決まるの?
初心者がやる投資として何がおすすめ?
投資というこれまでに触れたことのない大人の世界。
コマーシャルでもお馴染みのFXやビットコイン。
ある程度賢い高校生であればこういう部分について興味や疑問が浮かぶでしょう。
一般的に高校生の持つ既存の知識でどこまで理解できるものなのでしょうか?
高校で習う学科として関わってくるのは数学。


株価の変動もそうですが、数値化された世界では数学の理解によってピンとくるか来ないかの差が出ますし、投資とは企業や社会の価値と連動するものなので政治や経済学の分野とも密接に絡んできます。
新聞の経済部分の見かたを覚えるのも大事。
ビジネスマンが日経新聞を読む大人の事情も理解できるでしょう。
近い将来を意識した学習が導入されると、これまで大学受験で出題されるから有無を言わずに勉強して苦行的学校の内容にはじめて意義を感じることができます。
私自身、保険金融業界に携わりすぐに数学の重要性を痛感しました。
もし社会に出た時に数学や政治経済がどう関わってくるかリアルにわかっていれば学習意欲がもっと向上していたと思います。
学校の学習内容を社会で使える実践的なものにするには単に穴埋め問題のような従来の知識偏重なものではなく、実際の投資シミュレーションを取り入れながら使う場面を具体化するのが理想的だと思います。
もし国が本気で「生きるチカラ」を高校生に身につけさせようとするならば、やはり家庭科の中に無理やり押し込むのではなく、ちゃんと独立したサバイバル的科目の設定が必要であると考えます。
さて、ここからは私の経験に基づきぜひ高校生に学んで欲しいことを列挙してみたいと思います。
1 お金の定義
はじめに最大重要なのがお金の定義です。
これは漠然とお金を使っている大人にとっても重要なことです。
お金という物質自体には何の魅力もありません。
宝石のように光り輝くわけでもないし、スマホや自動車のように具体的な機能があるわけでもありません。
貨幣価値がゼロになれば取り柄のないティッシュペーパー以下の存在になるでしょう。
もし世の中からお金というものがなくなればどうなってしまうのか?
ぶつぶつ交換?
生まれてから当たり前にあるお金というものについてはその定義や意義についてあまり深く考える機会がありませんね。
これを議論する機会が非常に大切で、ぜひ授業で小論文を書かせてみて欲しいです。
2 戦略的貯蓄
いきなり国から突きつけられた老後2000万円問題の衝撃。
現在の現役世代後半の60代でさえ650万円前後が最多とされます。
これもぜひ授業のトピックで導入すべきです。
現役次代と老後の生活の想像。
そして自分の寿命まで想定し引退するまでに幾らの貯蓄が必要か。
そのためには労働収入のみで大丈夫か?
いくつかのシミュレーションを作ってっみる。
こういう問題を解く場合、分数の代数計算が必要となりますが従来の闇雲に覚える苦行的授業から将来へ直結する実践性の高い授業となりますね。
3 見えない支出
お金を使うと代わりに食べ物や品物が手に入ります。
しかし、世の中には肉眼では見えない支出が沢山あります。
まずその一番大きなものが税金。
高校生でも頻繁に納税しているのが商品やサービスに含まれる消費税。
お店側が徴収し納税しているので意識があまり向きません。
コンビニのイートインコーナーで食べてしまうと買うだけより2%高いから家に持って帰って食べようと思う高校生はどれくらいいるのでしょうか?
そうやって、まず身近な事実から説明し、そこから国民健康保険や社会保障についての説明をしておく必要を感じます。
義理で入っている生命保険。
本当に必要なのか?
自分にとって必要な金融商品の見極めに必要な知識を構築させます。
これは生徒の親世代にとっても必要なことなので、ぜひ親子で考える機会につなげて欲しいですね。
4 複利という考え方
高校で導入されるお金の授業、つまりこれは投資信託に関する知識がメイントピックとされていますが、最も重要なのが複利。
労働収入では100年かかる道のりを10年に縮めるための手段。
そこには金利が大きく絡んで来ます。
とくに中長期の定額投資では単利と複利について生ぶ必要があります。
電卓でポンと複利計算の仕方を知っておくと将来金融商品を検討する際に威力を発揮します。
これはカード破産を防止することへも繋がります。
年利8%で組んだカードローンの借金は1年後にどうなっているか?
こういう問題をぜひ数学の知識を活かす意味でも盛り込んで欲しいです。
5 投機について
今回、文科省の懸念として挙がるのが投資と投機の違い。
これは高校生のみならず社会人にとっても重要な事です。
たとえば儲かるといえばFX。
しかし、これは「ゼロサム」の極みなのでリスクプレミアム(あえてリスクをとる理由)が発生せず最終的には損をする構造になっています。
たとえトントンでも取引に膨大な時間をかけてしまったという意味ではコンビニでバイトした方がマシという結果になります。
そしてこの外国為替の仕組みは貿易収支とのつながりもありますので、政治経済の授業と関連性をもたせると非常に中身の濃いものとなるはずです。
6 分散投資の習慣
投資と宝くじの区別がついていない人が多く、分散投資の意義から学ぶべきだと痛感します。
つまりポートフォリオの組み方の基礎がここに来ます。
株も銘柄を分けて投資することが基本です。
標準偏差やリスク値についても計算する練習を数学と連動させる。
7 ドルコスト平均
分散投資の延長線にあるものですが、一定金額を定期的に投資する方法で株価の高い時に少なく買い、安い時に多く買う事になります。
「ideco」や「つみたてNISA」を勧める際、必ずドルコスト平均法の理論が出てきます。
まるで万能のメソッドのように語られますが、実はその対局にある一括投資のほうが効果を発揮する場面もあります。
金融商品に関連する記事や動画を見ているとドルコスト平均法がまるで神のように語られますが、ケースバイケースで効果を発揮するという事実の認識が大切です。
さいごに
生徒が考える課題として、それぞれの投資信託に含まれる見えない手数料について。
銀行や証券会社を通して買うには手数料がかかります。
フルコミの個人営業のセールスマンも同じこと。
これは金融商品のみならず、世の中に流通している商品には必ず手数料が乗っています。
しかし、その手数料の意味を考える機会はほぼありません。
銀行や証券会社で販売されている金融商品の手数料は果たして無駄でしょうか?
会社で取り扱うその商品の安全性を確かめるためにかなりの手間がかかっています。
もしファンドが破綻したら販売した会社の信用は台無しですからね。
銀行や証券会社で販売されている金融商品は手数料が高いからダメという意見を見聞きしますが本当にそうなのか吟味する習慣もぜひ授業へ取り入れて欲しいと思います。
そして親子で将来の資産形成について考える機会に繫がると素敵ですね。