令和4年の春からようやく?日本の高校の授業でもお金の教育が導入されます。
しかし、科目はなんと家庭科!
これは以前の記事でもさらっと触れました。
大義名分として「家計管理などを教える」授業の一環であるようです。
前代未聞の導入ですが、前提として令和4年から成人の年齢が20歳から18歳へ引き下げられます。
つまり、成人としてお金の絡む契約事項が発生してしまうことになるので、責任のある大人として投資詐欺に騙されないための知識と判断力を身につけるという意義があります。
日本人はお金の勉強が足りないというのは周知の事実になっているのでぜひどんどん社会へ出る前に勉強して欲しいところではありますが、長年、保険金融業界に身を置いた経験から色々と授業内容への懸念が浮かびます。
今回は私個人の経験を踏まえ、高校生が本当に学ぶべきお金の知識とは何かをここで明らかにしてみたいと思います。
高校生がお金の勉強をする事への懸念点
令和4年度(2022年)から始まる高校の新学習指導要領では資産形成というタイトルで「資産形成」に触れるよう規定していると言います。
お金を稼いだらゲーム機を買うという高校生らしい思考からお金を「守り増やす」というドラスティックな概念が埋め込まれます。
しかし、授業のメインとなる投資信託の詳細については高校生の親でもほぼ知らない世界。
それを今までお金をまともに稼いだこともない高校生がいきなり運用を学ぶのは果たして順調なステップなのでしょうか?
また、前段として出てくる懸念が家庭科というポジション。
お金の学習に関する学習指導要領の理念は将来の「生きる力」を養うためとなっているようですが、その具現化として金融教育が入ってくるという建て付けです。
これまで学校で習ったことは社会へ出るとほぼ使えないことばかりでしたが、いきなり社会で使える実践的な内容であります。
その殻を破るという意味でお金の教育という実践的授業は評価に値するのではないでしょうか?
保険金融業界でビジネスを行いつつ、日本人は礼儀正しく勤勉で信頼性の高い国民であると同時にお金の勉強をあえて行わなかったということです。
つまり、右肩上がりの高度経済成長に率直に寄り添って生きてきた歴史をそのまま引きずり、その流れで長年の不況と共に一緒に沈みつつあります。
高校のカリキュラムに沿って一生懸命勉強し大学へ進学し企業へ就職。
それを忠実に守ることで社会から評価されそれなりに豊かになれた時代でしたがマインドだけ昔のままなんです。
そろそろ学歴や国の経済情勢に依存せず「本当の生きるチカラ」身につけるべき時代の到来を覚悟すべきということでしょう。
しかし、そこまでドラスティックにサバイバルスキルを向上させるのであれば家庭科という既存の科目に押し込むのではなく資産管理や投資といった科目枠を別途設けるべきでしょう。
商売をやり始めてようやく意識する売上と利益の区別。
損得という概念が一体何をベースに存在するのかを根本的に教えてから資産形成の入り口へ立つべきです。
繰り返しますが、学校の授業で習ったことは社会に出ると使えない理由はその知識を社会でいかに使うのかを単に教えていないだけのことです。
仕事をするようになって初めて数学の重要性に気づいてしまいます。
ああ、あの時もっとこういうシーンを想定した授業があったらもっと授業に対し熱くなれたのに・・・
大人になり社会へ出て学校の授業の残念さを思うケースは多いと思います。
大学入試問題に金融商品の比較を行うような問題が出るようになれば最高ですね。
そして、もう一つが金融商品に対する原価意識。
投資信託という商品をポンと購入し祈りながら増えるのを待つだけという人が大半です。
それが株式なのか債権なのか不動産なのか、ミックスであればどういう配分でリスクはどれくらいなのかを意識する習慣づくりが大事です。
それと商品原価に必ず入っている手数料。
商品を提供している側としてコレに触れることは一種のタブーなのですが、流通する全ての商品には手数料という原価が目に見えない形で含まれています。
間に入っている中間マージンについても意識を働かせるという習慣も大事です。


投資で最も重要なことは運用利益云々よりもまずファンド元が破綻しないこと。
また、集めたお金を持ち逃げしたり世の中には投資に関する危ない話はゴロゴロしています。
特に金融商品は形のない不透明な世界。
投資詐欺にひっかからない為に常に上流から下流までを俯瞰するという習慣がとても重要です。
高校で始まるお金の授業でも金融ビジネス自体の構造や、顧客からこのようにも儲けているのかという仕組みを理解させることが正しく資産形成を行うために必要なことです。
それまで長年培われてきた各科目に対する指導要綱とは一線を画す実践の世界。
金融教育で生徒に教えるべき内容を家庭科の教師は理解できているか?
真っ先に皆さんの懸念として浮かぶのかこの事かもしれません。
まあ、中には個人投資家として失敗を含む経験したことのある先生がいるかもしれませんがそれは例外中の例外でしょう。
生徒達が将来「生きる力(お金の知識)」を持たせる説得力を学校という特殊な世界でのみ生きる家庭科の先生には少し荷が重いと思われ、外部委託の専門家にご登場願うという情報もあります。
今後、これまでにない実践的カリキュラムが追加されるたびに外部講師を委託導入するとなると、税金もかかるし、もはや既存の高校の先生は不要となってしまいますね。
さて、次回の記事ではもう少し具体的なポイントに基づき現在の懸念点と展望について書いてみたいと思います。
最後までご覧頂きありがとうございました!