中国仏教が衰退した歴史


僧侶トリビア
インドから中国を経て日本へ入って来た仏教
中国は日本の仏教の生みの親的存在なのに勢力はおとなしめだ中国における各宗教の割合
1無宗教+民俗信仰 73.56%
2仏教 15.87%
3キリスト教 2.53%
4イスラム教 0.45%
5その他の宗教 7.6%— TomFu (@TomFu83622412) June 26, 2021
日本の仏教の開祖は皆さん中国で勉強し日本で広めた人ばかり。
だから仏教の本場はインドというよりむしろ中国という印象が強い気がしますよね。
しかし、今の中国では仏教を信仰している人は国民の15%。

映画で有名になった少林寺も仏教ですよね。
禅を基本とする曹洞宗の修行寺でしたし、今でも現役ですが、どちらかといえば観光地として存在の方が目立っています。
中国仏教の歴史
では簡単に中国仏教の歴史をおさらいしてみましょう。
中国語で仏教はフォジャオ(Fojiao) と呼ばれ、漢王朝の時代に現在のネパールから伝わました。
お釈迦様もそのあたりにあった釈迦族の王子としてのお生まれでしたよね。
当時既に儒教や道教が存在していたので外来の宗教との摩擦は避けられない状況だったはずです。
しかし、仏教は徐々にあらゆる階層で受け入れられ、庶民から王族の間で広く支持されて行きました。
そして中国最大の勢力になります。
しかし、あまりにも仏教が勢力を伸ばし政府からも恐れられるようになると弾圧が始まるんですね。
よくある流れです。
それでも仏教はしたたかに繁栄を続けました。
南北朝、隋、唐王朝、宋王朝など、日本の仏教に多大な影響を与え続けました。
中国の仏教は道教の要素が取り入れられています。

仏典は道教の語彙を用いて中国語に翻訳されたのでますます道教よりの内容になってしまいます。
特に禅宗(Chán) は道教がベースとなっています。
「現世」「献身的慣行」「一瞬一瞬」を大切にするのは正に道教的視点を彷彿させる内容です。
唐の時代に道教は僧院の建立や菜食主義、そして禁酒、空虚の教義等を取り入れました。
そこが基本になって禅宗は中国最大の教派へと成長したと言われます。
しかし、1949年に中華人民共和国が樹立されると、仏教は禁じられて多くの寺院や僧院が破壊されました。
今日、中国でメジャーな仏教宗派は浄土宗と禅宗 (Chán) です。


中国共産党は宗教の消滅を目指すと言っています。
もう一つは、中国は日本と同じく複数の神や信仰があり、TOPに合わせて祈るのでキリスト教徒みたいに唯一というわけではないようです。
日本も神社の神も寺の仏も山の神様も全て大事にしますよね。
だから日本人に宗教を尋ねると無信教と答える人が多いです。
でもお葬式やお墓はしっかり仏教ベースという不思議な世界。
中国の場合、決定的なことで仏教衰退は文化大革命です。
古い慣習を壊すこと自体が目的となって既存の宗教に対する弾圧もかなり激しく行っています。
インドのようにイスラムに追われて衰退というわけではなく、国の事情で宗教自体を消滅させる政策によるという言い方が端的で分かり易いでしょう。
しかし、インドで発祥した仏教が中国に渡り、その中国も風前の灯火状態。
でも日本やタイではまだメジャーどころの宗教として頑張っています。
さいごになりますが、近年中国ではキリスト教の信仰が増えているようです。
急激な経済発展で価値観や道徳観も激変し、人間関係に疲れているという見方もあります。
キリスト教の寛容、慈悲、公正がどうも受けているようです。
中国という国が西洋をどう受け入れるか次第ですが、今後の動向に注目していきたいところですね。