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デジタル社会がもたらす心の闇(2)|時代と共に変わる生き残るための条件

 

かつてのサバイバル要件が現代では不適合という皮肉

前回のデジタル社会がもたらす心の闇|医療によって創られる精神疾患からの続きです。

現代人の持つ本能はサバンナで狩猟をしていた頃からほぼ変わっていません。

それなのに、デジタル社会という飛びぬけた環境が与えられ、そこで様々な不具合を起こしているいう仮説が有力です。

ここでは動物の進化と人間の進化を例にとり、生き残るためのDNAが現代社会では不具合を起こすことを確認してみましょう。

 

熊の進化

進化が分かりやすいよう動物を例にとってみましょう。

例えば白熊は最初から白かったのでしょうか?

古代より地球上に生息していた熊はエサを求めより遠くまで移動しあるグループは北のアラスカへ辿り着きました。

しかし、熊の毛は茶色なので白い雪の中では物凄く目立ってしまいます。

獲物であるアザラシにすぐ見つかって逃げられてしまうんです。

しかも熊の体はやたらとデカい・・・

ところが、ある時、茶色い雌の熊の遺伝子に突然変異が起き、白い毛の熊が誕生したんです。

雪と同じ保護色になればそれを武器に獲物に近づけると計画され誕生したわけではなく偶発的に誕生した白い熊が生き残ったという結果論。

その啓発的な存在の白い熊が生き残り、そのサイクルを繰り返すことで環境に適応した白熊が誕生したという流れなんですね。

ダーウィンが進化論の中で「この世に生き残る生物は,最も強いものではなく,最も知性の高いものでもなく,最も変化に対応できるものである。」と説いたのは、能動的に変化を望んだというより、たまたま適応出来た種類が生き残った。

植物も動物も人類も環境に適応して結果論なんです。

 

 

かつてのサバイバル力が現代社会では仇となる

では、次はいよいよ人類の進化を例にとってみましょう。

10万年前、ジャングルに生息していた人類の祖先がいました。

ビジュアルは御想像にお任せします。

仮にAさんとしましょう。

獲物を探して歩いているとりんごの木を見つけました。

りんごを1つだけ食べると満足し家に戻りました。

そして翌朝お腹が減ったのでりんごの木のあった所へ行ってみるともう無くなっていました。

まあ当然ですよね。

まだその頃は確保しておくという知恵は無く、果物の成る木をその都度見つける事こそが生きる術なのです。

それから1万年後に同じジャングルにBさんという人が誕生しました。

Bさんの遺伝子に突然変異が起きました。

ドーパミンは「快楽物質」とも呼ばれるように脳に報酬を与えるホルモン物質です。

報酬体験や快楽体験を認識(りんごが美味かった)し、その情報を強化するという2つの役割を持ちます。

ドーパミンの影響でBさん木になっているりんご全部食べてしまいたいといいう激しい欲求に駆られました。

一つ食べれば丁度良いのに気持ち悪くなるまで食べ続けました。

そして翌朝目が覚めるとお腹が減っていましたがりんごは昨日全部食べたのでもうありません。

さてここで質問です。

生き延びる確率が高いのはAさんでしょうかBさんでしょうか?

当然Bさんですよね。

体内に蓄積されたりんごの養分や脂肪が餓死から守ってくれるからです。

そうするとBさんは子供をつくり遺伝子を残す確率が上がります。

結果論としてドーパミンで体内に蓄積する特性のあるBさんの遺伝子が生き残ります。

AさんとBさんが現代社会へタイムスリップして来たらどうでしょうか?

ジャングルでは負け組だったAさんと勝者Bさんの立場は見事に逆転してしまいます。

Aさんはマクドナルドのハンバーガーを1つだけ買います。

Bさんはビックマックとシェイクとポテトとコーラを注文します。

飽食の現代社会ではジャングルと違い翌日も同じものが安定的に手に入ります。

半年もすればBさんの体は肥満化しはじめ、翌年にはⅡ型糖尿病を発症してしまいました。

ジャングルでは負け組だったAさんのライフスタイルは現代社会では無敵ですがBさんは・・・

どうですか?

自分とBさんが重なったのではないでしょうか?

現代社会に適応できていないのはこのような身体だけではありません。

精神面でも同じことがいえます。

例えばBさんはジャングルの中で常に獰猛な動物からの危険に備えながら生活する必要がありました。

微かな茂みの動きや足音に気を配らないと直ぐにやられてしまいます。

周辺に気を配る事こそが生きる術だったんですね。

しかしBさんがそのまま現代社会へ来てしまうと落ち着きのない特性からADHDだと診断されてしまうでしょうね。

つまり私たちを取り巻く環境次第でかつての生きる力は仇となってしまうという皮肉な結果を生んでしまっています。

人間が地球上に現れてから99%の時間を狩猟と採集をして暮らしてきました。

私たちの道は今でも当時の生活様式に最適化されたまま無理やり現代社会で生きようとしています。

デジタル化に適応するいはあと1万年は必要なのかもしれません。

今騒がれているスマホの弊害も人間のもつDNA的な不適合によるエラーメッセージなのかもしれません。

そして、我々は皆ドーパミンにより食欲が止まらないBさんなんです。

報酬や快楽系の欲求は食べ物だけではなく、周辺情報への興味も延長線上にあります。

それはパソコンやスマホが運んでくる新しい知識や情報への欲求は食べ物と同じです。

パソコンやスマホのページをめくるごとに脳ドーパミンを放出しその結果私たちはクリックが大好きになります。

今読んでいるページよりも次のページに夢中になって行きます。

インターネット上のページで10分以上時間をかけるケースはわずか4%に過ぎないと言われています。

次から次にサーフィンのように新しい情報を求めてネット上を徘徊しているんです。

新しい情報を得るとそれが何であろうと脳の報酬システムが新しいりんごを見つけた時と同じ作用をもたらします。

その結果が次々と新しいもの新しいものを際限なく探し続け、ネットサーフィンや友達からの着信を待ちわびたりしているわけですね。

スマホはこのような私達の脳の性質を理解し中毒かさせるように計算して作られているんです。

だからアップルのスティーブジョブズは自宅で自社のプロダクトをそばに置くことすらせず、スクリーンを見る時間を制限していたということがインタビューによって分かっています。

自分の子供にも触らせなかったそうです。

ビジネスとは恐ろしいですね。

 

さいごに

本来幸せになりたくて経済を回し社会や技術を発展させ一旦裕福になったのに心を病んでいます。

つまりGDPの上昇に比例するという皮肉な現象・・・

良い暮らしができるようになったのに心は不健康という救いのない状況をいかに巻き返すかが今問われています。

多くの人が物質的には恵まれているのに不安を感じている理由がピンと来ませんね。

今まで以上に他人と接触(接続)しているはずなのになぜ孤独を感じるのでしょうか。

急速な発展による人間らしい生活からの逸脱。

SNSにより更にボリュームを増した外的環境ですが、そこへの関心が許容量を超えてしまっています。

仏教では心の闇はそもそも外的環境から起きると見極め、意識を内側へ向かわせることによって精神の安定を図る治療方法なんですね。

だからこそ今、古代仏教の教えが現代人の心の闇を晴らすという意識でぜひ関心を寄せて頂くと幸いです。

最後までお読み頂き大変ありがとうございました。

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